「……私は、桃だ」



勝手に言葉が出てきた。
缶を持つ手が震えているのが分かる。



「私は……桃だ!『良い子』って呼ぶな!」



私は何度も何度も叫んだ。


良い子って呼ぶな!

良い子って呼ぶな!

私は良い子じゃない!!




私は――、桃だ!




よほどの大声だったのか、警備員らしき人達が教室に勢い良く入って来て、私はあっさりと取り押さえられた。