モテないオトコ

 俺が玄関の中には居ると、笹山さんを降ろした。

「やん♪
 お持ち帰りされちゃった♪」

 と、嬉しそうに笑った。
 何が楽しいのだろう、この人は……

 笹山さんは、靴を脱ぐと部屋の奥に自分で歩いていった。
 笹山さんが、離れた背中が夜風に拭かれ少し寒かった。
 笹山さんは、きゃっきゃと笑いながらロビーを走り回っている。
 頭が少し痛くなった。
 俺は、頭を抑えながら椅子に座った。

「笹山さんも座りませんか?」

「お酒くれるんやったら座る」

「お酒は出ません。」

「けちやのぅ」

 笹山さんは、そう言うとちょこんと椅子に座った。
 それを確かめた俺は冷蔵庫からミネラルウォーターを出してそれをコップに注いだ。

「これ飲んで、目を覚ましてください」

 笹山さんは、ぐぐっとコップの水を飲み干した。

「ふぅ……
 なんか悪いなぁ~
 強引に押しかけたみたいで……」

「俺は別に構いませんけど……」

 笹山さんは、テーブルの上で塞ぎこんだ。

「あ、眠るときは、そこのベットを使ってくださいね。
 俺、ソファーで眠るので……」

 笹山さんは、頷くとベットでバタンと倒れて枕を俺の方に投げた。
 枕には、Yesと書かれていた。
 それは、この間の会社のイベントで景品として俺が貰ったYES・NO枕だった。