モテないオトコ

「って言っていとる間に着いたわ。
 この店来たことある?」

 ここは、橘さんと前に一度来たことがある店だ。

「はい、このあいだ橘さんと……」

「なんや、恭子と来た店って、ここやったんかー」

「うん」

 笹山さんは、クスリと笑うと店のドアを開け中に入った。

「いらっしゃいませー」

 すると、この間と同じ店員がやってきた。
 俺の顔を見た後、一瞬険しい顔をした。

「二名様ですね。
 こちらへどうぞ」

 俺たちは、テーブルに案内された。

「お飲み物は決まっていますか?」

「生中二つとBセットをお願いします。」

 笹山さんが、ニッコリと笑った。

「注文を繰り返します。
 生中二つとBセットですね?」

「はい」

 それを確かめると、店員は俺の顔を睨んだ後その場を去った。

「なんか、物凄く睨まれたような気がするんだけど……」

「気のせいやない?」

「そうかな……?」

「気のせい♪気のせい♪」

 笹山さんは、そう言うと楽しそうに笑った。