モテないオトコ

「いいんですか?」

 俺は、半ば怯えながら尋ねた。
 するとこの人はあっさりと返答した。

「はい。
 どうせ駅までは同じですから……」

 ニッコリと笑うこの女性に俺はときめきを感じた。
 でも、問題がひとつあった。
 俺は、この人のことなど全く知らなかった。
 どうして、俺が帰る方向を知っているのかわからない。
 これが、噂に聞くデート商法か?
 そう思いながらももうひとりの俺が歌い出す。

 さよなら♪さくらんぼー♪

 俺は、99%の下心と1%の不安を胸にコクリとうなずいた。
 相合傘……
 不純な気持ちが、わかない男はいるだろうか?
 答えは否!
 俺にもモテ期が到来か!
 そう思いその子の傘を持った。
 だってそうだろう?
 こういう場合男が傘をさすんだろう?
 マンガで勉強しているから問題ない!