「……え?」

 何を言っているんだ、この人。
 確か、前にもこんな展開が……

「お姉さんとイイ事したくない……?」

「イイ事ってなんですか……?」

 なんとなく、解っているけど改めて聞いてみた。

「もう、とぼけちゃって……
 キスよ、キス。
 あなたのおくちと私のおくちが、結婚しちゃうのー」

 橘さんは、立ち上がった。
 そして、橘さんの細い指が、まるで猫でもあやしているかのように俺の喉を撫で回す……

 頭の中が真っ白になる。
 俺の胸の鼓動がだんだん早くなる……

「な、何を突然……」

「うふふふふ……
 坊やいい子ね」

 何だろう、この胸の高まりは……

「ほら、ここに寝て……」

 橘さんは、その場に俺を押し倒した。
 なんで俺は、抵抗できないでいた。

 いいのかな?こんなんで……

「大丈夫でふよー
 キスなんて誰でもしちゃうものなんですからぁー」

 橘さんが嬉しそうに笑う。

 キス……
 橘さんとのキス……
 なんだ、俺は緊張しているのか?

「裕也くん。
 早くキスしようよ」

 裕也くん?
 裕也くんって誰だろう……