「どうしてここへ?」

「あはは、どうしてでしょう…」

 橘さんは苦笑いを浮かべている。
 えっと、どうしよう…
 何を話せば良い?
 俺の心拍数は、爆発寸前にまで高鳴る。

「あの、すみませんでした!」

 俺は、とりあえず謝ってしまった。

「え?あ?え?」

 橘さんは、どうして良いのか解らず戸惑っていた。

「えっと、何が、でしょうか?」

 ホント、俺は何をやっているのだろう・・・

「すみません」

 俺は、再び謝った。
 橘さんは、俺に近づくと腕を高く上げて傘の中に入れてくれた。

「傘に入りませんか?」

「ありがとうございます」

「少し、お時間を頂いてもよろしいでしょうか?」

「あ、はい」