結局、俺にとって笹山さんはなんだったのだろう?

 女友達?
 いやそれ以上?

 俺が好きだったのはどっちだったのだろう……

 初めて女の人とデートしたのが橘さん。
 失恋した俺をまるで自分の事のように心配してくれた笹山さん。
 橘さんが、会社を辞めて実家に帰ったとき、橘さんの病気が治って本当は嬉しかったはずなのに寂しかった。
 アドレスを変えられた答えなんて
 どんなに考えても見つからなかった。

 脊椎が欲しかっただけなんだ。
 女性が俺に優しくするなんて、そんな理由が無い限り有得ないんだ。
 そう、自分に言い聞かせていた。
 今も、そう言い聞かせている。

 でも、そうすると笹山さんの優しさはなんだったのだろうか?
 自分の寂しさを紛らわしたかった。
 イケメンで仕事も出来る菊池より俺を選んでくれた。

 俺は、なにもわからずなにも知らない男だ。

 もしも、転勤が無かったのなら……
 俺は、笹山さんと付き合える可能性ってあったのかな?

 考えても考えても考えても…
 時間だけが無駄に流れた気がした。

 俺は、明日この家を去る。
 そして、全ての気持ちをリセットするんだ。