「少し寂しくなりますね」

「ウチはごっつ寂しいけどな
 折角仲良くなれたのにな…」

「……笹山さんは、俺にとって初めての女友達だったよ」

「恭子は友達とは違うん?」

「あの人は、初恋の人かな……」

「なんやそれ……」

「あはは、何でしょうね」

 笹山さんは、間を開けて言葉を放った。

「やっぱ、二次会は止めや!」

「え?」

 気がつけば、俺達は駅前に来ていた。

「今生の別れやないんやし
 京都に行く約束もしたしな」

「うん」

「じゃ、ウチはこっから帰る!」

「あ……送っていくよ」

「そういうのは、本命だけにしとき!
 帰り道とかなのならいいんやけど……
 そうでないのなら、本命の時だけや」

「……わかった
 気をつけて帰ってくださいね」

「ああ、じゃ、おやすみ」

 笹山さんは、そう言うと俺の唇にキスをした。
 そして、顔を離しニッコリと恥ずかしそうに笑うと駅の階段を登っていった。
 俺は、暫くそこから動く事が出来なかった。

「自分だって、そういうのは本命だけにしとけよな……」

 俺は、小さく呟くと自宅へと帰った。