1パーセントの期待を懸ける毎日なんて、いっそない方が良いのだろうか。でも、希望は捨てたくない。光夜の頭の中ではいつも二つの考えがぶつかり合っていた。

 “もしも”が本当になるなら、と何度願っただろう。泣き出しそうになった光夜が床に寝転ぼうとしたその時、マナーモードにしてあった携帯が彼を呼んだ。



「……はい。」

「光夜、ちょっと話があるんだけど……あんた寝てたの?声に元気がないけど。」

「え?」



 自分の異変を受話器越しに感じた硝子に、光夜は脱帽した。寝てなどはいなかったが、光夜は「はい、ちょっとウトウトしてました……」と答えた。



「そう……今、時間大丈夫かしら?疲れてるならまた今度でも良いんだけど。」

「あ、いえ!大丈夫です!!」



 光夜が答えると、硝子は深い溜め息を一つこぼした。それがあまりにも重苦しかったので、光夜は糸がピンと張られたように緊張し始める。



「あんたと話したいって人達が、今私の隣に居るのよ。代わっても良いかしら?」



 ドクン、と一際大きく跳ねた心臓。光夜は震える声で「はい……」と呟く。受話器の向こうのカタリという音。息をひそめて、その時を待った。