やがて間奏が終わり、再び歌が始まる。織春はステージ中央でマイクを構え、観客を見据えているSetsunaを一心に見ていた。





君がどんなにため息ついても
一人で涙流していても
誰かに伝わるその日まで
僕らは走るよ
Go for it!





 織春は、五人のステージに勇気をもらったような気がした。自分もこの人達みたいに歌いたい。自分を“魅せる”ということを、この人達はちゃんと知っているんだ。彼らを見ていて、織春はそう実感した。そして同時に、好美が言おうとしていた“他人の才能を認め、尊敬する”ことの大切さに気付く。

 自分が周りより劣っていると考えるのではなく、逆に自分がずば抜けていると考える訳でもない。自分も他人も素晴らしい。嫉妬したりひがんだりせず、素直に相手の良さを認めることで自分も成長出来るのである。



「私もあんな風になれるかな?
……ううん、絶対なりたい!!」



 強く決心した織春はギュッと拳を握る。彼らの出番の二組後で、彼女は立派にトリを務めた。そのステージは「今までで一番良かった!」とマネージャーの好美が豪語する程、揺るぎない自信に溢れた素晴らしいものだったという。