「俺さ……欲を言えば、雪那の歌がもう一度だけ聴きたいよ。CDじゃなくて。」



 頼星が苦笑しながら言う。そんな彼を見て、三人も同意を示した。



「俺も雪那と、もっと色んな曲歌いたかった……」



 風巳は俯いたまま、か細い声で言う。隣に座る光夜が背中を優しくさすってやると、風巳は目頭を拭い、「……ありがとう」と呟いた。



「雪那って、ほんと不思議な子だったよね……あの声一つで、人を元気にしたり泣かせたりするんだから。」



 湿っぽくなった雰囲気をどうにかしようとしたのか、紘が言う。彼は自分の前に座る風巳に語りかけるように口にした後、隣に座っている頼星に「ね?」と同意を求めた。



「何か……ダメだな、俺。未だに、雪那が居てくれたらなーって思っちゃうんだよな……」



 深い溜め息をつく頼星。紘の些細な努力も虚しく、状況は何も変わらない。そんな頼星を見て、光夜が言った。



「……みんな一緒だよ、頼星だけじゃないんだ。やっぱり納得出来ないよな、あんなの……
でも、それでも……俺達は生きなきゃいけないんだよな。雪那の分まで。」