──雪那が亡くなってからも、時は変わらず流れていく。騒がしい街角は、冷たい風が頬に刺さる12月になっていた。



「もうすぐクリスマスなんだなー……」



 イルミネーションが光る街の片隅にあるカフェの一角で、光夜がボソリと呟いた。周りには、風巳・紘・頼星が居る。Quintetが解散した後も、四人は以前と変わらず仲良しのままだ。



「今日ってさ……雪那の誕生日なんだよなぁ……」



 グラスの中のストローをかき回しながら、頼星が言う。三人は、応えるように小さく頷いた。



「そっか……今日、12月23日だもんな。」

「ほんとなら、今日で16歳だったんだよね……」



 風巳が微苦笑して言えば、紘は食べかけが残る皿を見つめながら、そうこぼす。二人、そして溜め息をつく頼星を見て、光夜が雰囲気を変えようとする。だが、方法が思いつかず、結局黙るしかなかった。

 ──あれからまだ、一年も経っていないのだ。四人、特に頼星は、未だに雪那の死を受け入れられないでいる。口には出さないものの、その寂しそうな表情が全てを物語っていた。“いくつの涙と溜め息を越えたら、自分達は笑えるようになるんだろう……”と。