──何処からともなく、二つの拍手が聞こえた。見ると、会場の片隅に居る雪那の両親が手を叩いている。高藤が呼んでいた彼らのその表情はとても優しくて、温かい。



「……頼星君、ありがとう。光夜君も風巳君も、紘君も……山内さんも高藤さんも、本当にありがとうございます。」

「あなた達が居たから、雪那はここまでやってこられたんです。私達の娘は、二人揃って幸せ者ですね。こんなに素敵な人達に囲まれてるんだもの……」



 やがて大きな拍手が起こり、室内全体に広がった。会見が放送されている茶の間でも、大勢のファンが拍手をしているのだろう。

 “ファンのみんなにも悲しみを乗り越えてもらいたい。自分達はこれからも音楽と関わり続ける。それが雪那の願いだと思う”。リーダーがそう語り、高藤が「さぁ、行こう」と言った、その時だった。

 光夜・風巳・紘・頼星の視線が一つに交わる。記者会見の終わりに四人が口にした言葉は、奇跡の一致を遂げた。まるで、あの日出会った“Quintet(自分達)”のように。



「雪那を……僕達のことを、忘れないで下さい。」