「……あの、質問なんですが!Setsunaさんが女の子だというのは本当ですか!?」



 一人の記者が叫び、にわかにやかましくなる。メンバー達の誰もが、高藤や硝子までもが唇を噛んで俯いている中──頼星が突然、沢山のマイクの中から一つを掴み取る。そして、ゆっくりと立ち上がった。



「……確かに、あいつは女です。でも、それはどうでも良いことなんじゃないですか?ファンのみんなは、そんなこと気にしないと思います。俺も、光夜も、風巳も、紘も……そう信じてます。」



 周りから哀れな視線を向けられ、質問した記者は押し黙った。頼星は、まだ話し続ける。



「あいつは、“忘れられること”を一番嫌ってる。お姉さんが死んだ時も、ずっと言ってたんだ。自分は絶対にお姉さんを忘れないって。
……俺達があいつを忘れて生きていくなんて、ありえないだろ。あんな強烈な奴、忘れたくても忘れらんねぇよ。」



 頼星はそこまで言って、言葉を止める。報道陣がカメラのシャッターを切ることも忘れ、メンバーや硝子達が固唾を呑んで見守る中、彼はこう告げた。



「あいつは俺達の思い出の中に、ずっと生き続ける。
……それで、良いと思う。」