「……出来ねぇよ。見てどうするんだ?雪那が死んでるかどうか確認すんのかよ……」



 呻くように言った頼星。握り締めた拳が小刻みに震えている。唇を強く噛んで俯く彼に、みんなが不安げな視線を送る。すっかりと冷えきってしまった空気の中、雪那の母がゆっくりと口を開いた。



「頼星君……気持ちは分かるわ。私達だって同じよ。受け入れたくないけど……雪那とはもう、お別れしなくちゃいけないのよ……」



 ──一筋の涙を流し、彼女はそう言った。その言葉が、頼星の感情を沸騰させる。



「何で……何で雪那なんだよ!!分かんねぇよ!!」



 泣き叫ぶ頼星をきっかけに、硝子と紘も嗚咽を洩らす。風巳や高藤、雪那の両親もつられてしまいそうになったその時──弱々しく揺れる頼星の肩を、光夜が両手でしっかりと掴んだ。



「……いい加減にしろよ!!お前どれだけ子供なんだよ!!悲しいのはみんな一緒だろ!?」

「分かってるよ……分かってるけど……!」



 目の前には、いつもより小さく見える頼星が居る。そんな彼を見て、光夜は優しい笑みを浮かべる。その名の如く、みんなの心を明るく照らしてくれた。