「あれ?Setsunaさん、香水付けてます?何か良い匂いが……」



 ふと司会者が、そんな話題を振ってくる。普段あまり香水を付けないSetsunaは、内心ドキリとした。気付かれて嬉しいのだが、何だか気恥ずかしいという、そんな気持ちだ。



「あ、はい。バレンタインにファンの方からもらったんですけど、今日付けてきました!メンバーからも俺にぴったりの香りだって言われて、凄く気に入ってます。」



 あえて“織春から”と言わなかったのは、お互いのファンへの配慮でもあったのだろう。何より、織春への感謝を密かに伝えているに違いない。同じ会場内に居ても彼女と会話することが出来るかどうかは分からないので、Setsunaはこの方が良いと考えたのだろう。



「ファンの方が羨ましいですねぇ……確かにSetsunaさんにぴったりです!」

「ありがとうございます!」



 終始笑顔のSetsunaの傍らに居る四人も、つられて笑みを浮かべていた。それはファン達も同様で、特にSetsunaのファンはとりわけ嬉しそうにしている。大量のチョコはスタッフ達にも手伝ってもらって全部食べたという話をして、五人は大きな会場を沸かせた。