空のギター

 ──日時は12月23日の午後7時過ぎ。Setsunaの15歳の誕生日であるこの日に、Quintet・織春・Trickstersの三組合同クリスマスイベントが行われた。

 事務所も違う彼らが何故共演することになったのかというと、アーティスト同士の強い希望と社長それぞれが意気投合したからというのが理由だ。競争が激しい音楽業界では稀な出来事だろう。



「皆さんお待たせ致しました!三組のご登場です。温かい拍手でお迎え下さい!」



 サンタの衣装を着たイベント司会者の女性がマイクで叫べば、大きな歓声が上がる。途端に巻き起こる拍手の音が、三組の登場を告げた。

 Quintetの五人は茶色のファーが付いた白いダウンジャケットを羽織り、同色のパンツをはいている。インナーやアクセサリーはそれぞれ違い、Kouyaは茶色のトレーナーにシンプルな銀の二連ネックレス、Kazamiは薄紫のハイネックセーターと所々に白い石が入ったブレスレット、Hiroは鼠色・黒・白のタイル調のチェックシャツ、Raiseiはグリーングレーのトレーナーを着ている。そして、本日の影の主役であるSetsunaは黒のブイネックセーターを着て、灰色地にピンクと白のタータンチェックのマフラーをルーズに巻いていた。