文化祭のシーンは、監督や雪那をはじめとしたバンドメンバーにとって、とても重要なシーンだ。「歌、いつも通り頑張れよ」と言う頼星に、雪那は僅かに沈んだ声を出す。
「うーん……でも、ちょっとだけプレッシャーが……」
いつもはQuintetのSetsunaとして歌っているが、明日の撮影では映画の登場人物として歌うのだ。自分を取り囲む演奏仲間も違うので、不安でない訳がなかった。
「大丈夫だって。何処で誰と歌ってても、“お前はお前”だろ?自信持って歌えば良いんだよ。」
頼星の言葉が、雪那の心に強く響いた。自分だけは──自分の歌だけは、何処にあっても色褪せないでいて欲しい。そんな隠された願いすら、頼星は見抜いていたのだ。幼馴染みとは、やはり素晴らしい。勇気が湧いてきた雪那は、受話器の向こうへ感謝の気持ちを伝える。
「……うん、ありがとう。明日頑張るから応援よろしくね!」
「おう。厳しくダメ出ししてやるよ。」
「はいはい……じゃあ、また明日ね。」
「ん、お休み。」
日付が変わる数分前、二人は同時に電話を切った。それぞれの心へ情熱にも似た、明日への思いを抱(いだ)いて。
「うーん……でも、ちょっとだけプレッシャーが……」
いつもはQuintetのSetsunaとして歌っているが、明日の撮影では映画の登場人物として歌うのだ。自分を取り囲む演奏仲間も違うので、不安でない訳がなかった。
「大丈夫だって。何処で誰と歌ってても、“お前はお前”だろ?自信持って歌えば良いんだよ。」
頼星の言葉が、雪那の心に強く響いた。自分だけは──自分の歌だけは、何処にあっても色褪せないでいて欲しい。そんな隠された願いすら、頼星は見抜いていたのだ。幼馴染みとは、やはり素晴らしい。勇気が湧いてきた雪那は、受話器の向こうへ感謝の気持ちを伝える。
「……うん、ありがとう。明日頑張るから応援よろしくね!」
「おう。厳しくダメ出ししてやるよ。」
「はいはい……じゃあ、また明日ね。」
「ん、お休み。」
日付が変わる数分前、二人は同時に電話を切った。それぞれの心へ情熱にも似た、明日への思いを抱(いだ)いて。



