空のギター

「俺、演技なんて初めてだから凄く不安で……宏夢君、あれで大丈夫だと思う?」



 恐る恐る言うSetsunaに、小学校低学年から劇団に所属しているという宏夢が優しく微笑みかける。その笑顔は、Setsunaをとても安心させてくれた。



「Setsunaの演技、俺は好きだけどな。独特の空気があってさ……ね?」



 言いたいことを上手く整理出来ないのか、宏夢は自分の両脇を固める沙絵利と藍に助けを求めるような視線を送る。それを受けた二人はクスリと笑んで、彼のフォローに回った。



「Raisei達に聞いたけど、自分以外はみんな演技のプロだからってヘコんでたんだって?こういう仕事したことがないと不安だらけかもしれないけど、Setsunaも織春ちゃんものびのびやってけば良いと思うけどなぁ。」

「うん、私もそう思う!あとは出演者を見て勉強すること、かな?私達も、新しい仕事をする度に何か発見があるんだよ。
私からアドバイスするなら、“自分の役と寄り添う”ってことかな。なりきるんじゃなくて、寄り添うの。これ、重要ポイントね!」



 三人の話を聞き、Setsunaと織春の心が軽くなる。二人は揃って「ありがとう!!」と笑んだ。