空のギター

「──はいオッケー！じゃあ少し休憩しまーす。」



　監督の声が響き、俳優達がホッと胸を撫で下ろす。緊張した雰囲気から解消され、Setsunaは人一倍大きな溜め息をついた。すると、それを見つけた共演者の一人が彼に声をかける。



「Setsuna君、大丈夫？慣れない演技で疲れちゃった？」



　相手役でもある、結城沙絵利(ゆうき　さえり)だ。ショートカットのマロンブラウンの髪を揺らしながら、くりくりとした愛らしい瞳でSetsunaに語りかける彼女は、若干15歳だが、今最も注目されている若手演技者の一人である。二人は同い年だからか、現場に入ってすぐに打ち解けたのだった。



「うーん、大分慣れてはきたんだけど……沙絵利ちゃんは大丈夫？ドラマの収録だってあるんでしょ？」

「私は大丈夫！こう見えてタフだから。」



　彼女はそう言ってニコリと笑う。その表情には、確かに微塵の疲れも感じなかった。流石はプロ、である。二人が話していると、他のメイン共演者三人が彼らの元にやってきた。