談話室から硝子が去ると、五人の視線がそっと交わる。自分達の行動は正しくなかったけど、間違ってはいなかった。そんな感情が、それぞれの笑顔に表れている。



「硝子さんはめちゃくちゃ怒ってたけど、楽しかったよね、ストリート!」

「俺、中学の時に駅前で踊ってたの思い出したよ。」



 興奮冷めやらぬ口調の紘と懐かしさに浸る風巳が、「今度社長に交渉してみる?」と意気投合している。路上ライブ初体験だったらしい光夜は、「公式イベントよりお客さんとの距離が断然近かったよな!」と嬉しそうに言い、やはり楽しかったという気持ちを表に出している。仲間達はどうやら気に入ってくれたようだ。雪那と頼星は顔を見合わせて笑った。



「お客さんにも三人にも、サプライズ大成功だね!」

「おう。まぁ、これでもう勝手なことは出来ないけどな。硝子さん鬼の形相だったし。」

「失礼だよ頼星。でも、これをきっかけにQuintetを知ってる人が増えたら嬉しいんだけどなぁ……」



 一瞬一瞬の楽しさを、自分達の歌やダンスを通して沢山の人と共有したい。“永遠”を知って欲しい。ゲリラライブが人々の心に残ることを祈り、五人はそれぞれ帰途に着いた。