曲が間奏になると、彼らを隠すようにスルスルと白い布が降りてくる。何が起こるのだろうかとザワザワし出す観客の前で、布越しのシルエットダンスが始まった。会場の照明が落ちて布の中央にだけスポットライトが当てられると、縦一例に並んだ五つの影が踊り、ファン達が悲鳴にも似た歓声を上げる。これまでと違うタイプの曲だが、観客ウケは良いらしい。五人はこの瞬間、改めて自分達は“アイドル”なのだと実感した筈だ。

 すると突然、全ての明かりがフッと消えた。再び騒がしくなる客達。約20秒程、真っ暗闇にBGMが流れる状態が続いた。漸く光が灯った時──観客の目に映ったのは、衣装替えをした少年達だった。

 Kazami・Hiro・Raiseiの三人は、ツナギを脱いだ代わりにそれぞれインディゴ・黒・白のデニムをはいている。Kouyaは黒字でエッフェル塔のイラストが描かれた薄紫のロンTと黒のジーンズ、Setsunaは無地で藍色のロンTと白いジーンズに着替えている。その腰元では、フリンジの付いた青いギンガムチェックのストールが揺れていた。

 BGMが、ピアノ伴奏にバイオリンを重ねた優しいものに変わる。マイクをハンディタイプに切り替えた五人。澄んだアルトが耳を貫く。