……あぁ、またか、
このパターン
当たり前すぎて嫌になるよ
これで一体何度目だろう
戻した受話器 こぼれる溜め息





 Kazamiのクセのある低い声から生まれる『バンビーナ』の世界。ファン達が叫んだのは、彼の歌い方にかつてはなかった“色”を感じたからだ。大人の香りを出そうとした、彼の努力の賜である。





キミは忘れてしまったのかな
この手を掴んだあの日のことを
「今日は誰とデートだい?」
言い出せなくて 唇噛んだ





 Kazamiに続き、低さを意識して歌うSetsuna。“少年”が“男”に見えた瞬間だった。以前は響きが甘かった声が、今は突き抜けるかのように観客の耳へ届く。Setsuna自身、自分の変化に驚いていた。

 ボーカル二人の後ろには、黒の衣装でしなやかに踊るKouyaとHiroとRaisei。手や腰の動きを使った色気を垣間見せる振り付けが、曲にとても合っている。彼らのダンススキルも確実に上がっていた。





近づくたびに、離れていくの?
まるでオレだけ好きみたいだよ
ハートにそっと、触らせて
キミはいとしいバンビーナ





 力強いダンスと意志を持って歌われる詞。五人が急速に、会場の空気を染めていく。