「あのー……実は今日は、謝罪の他にもう一つ用件がありまして。」



 言葉を発した工藤マネージャーに、Quintetと硝子の視線が集まる。一体何を言われるのだろうか……Setsunaは緊張で、思わず唾を飲んだ。工藤の両目が希楽と和洋に向かう。チラリと顔を見合わせる二人。赤メッシュの男がゆっくりと口を開いた。



「……僕達に、Quintetの曲をカバーさせて欲しいんです。」



 ──ほんの一瞬言葉を失った。まさかこんなことがあるなんて。六人はそう言いたげな瞳を交わらせる。誰よりも早く冷静さを取り戻した硝子が「ちなみにどの曲を?」と尋ねると、和洋と希楽は笑い、順に喋り始めた。



「新曲の『バンビーナ』です!前々からQuintetの皆さんには注目してたんですけど、この曲でやられましたね!歌詞もメロディーもめちゃくちゃかっこいいです!!」

「振り付けも良いですよね。あと、マスコミがなかなか気付かないみたいなんで言わせてもらいたいことがあるんですけど。」



 ニヤリと口角を上げ、挑戦めいたことを言う希楽。その視線がまっすぐSetsunaを捉え、運命の一言がかかった。



「君、歌い方変えたよね?声量増えたし、前より全然良いよ!」