「……ウチら、ベリーズエンターテイメントの“トリスタ”のファンなんです。最近Quintetの勢いが凄いから、トリスタが危ないんじゃないかって思って。それで、ちょっと嫌がらせしてやろうかと……」

「悔しかったんです。今までだったら、トリスタの新曲が出ると一ヶ月くらいオリコンの10位圏内にあったのに。Quintetがデビューしてからは変わったんですよ。すぐにトップ10から消えるようになったから……」



 藍色と茶色の髪の少女が、俯いたまま呟いた。金髪の少女もその傍らで頷く。彼女達が言うトリスタとは“Tricksters”という男性二人組アイドルで、Quintetのライバル的存在ということだ。それを考えると、彼女達の気持ちも少々だが分かる気がする。



「摘まみ出されるまでは、ふざけんなよって思ってました。Quintetが好きになったからトリスタファンやめるって友達も居て、凄くムシャクシャしてました。
でも……あたし達間違ってました。ここで聞いてたら、Quintetにもトリスタと同じように大勢ファンが居るんだって分かったし、歌も凄く良かったです。
嫌がらせはもう二度としません。本当にすみませんでした!」