全力でライブをやりきった五人を待っていたのは、「お疲れ様!」という温かい笑顔達。その一つ一つにお礼を返し、彼らはタオルを抱えている女性スタッフに駆け寄った。

 顔にあてがえば、ふわりとした洗剤の匂い。心安らぐフローラルの香りだ。五人が視線で成功を喜び合っていると、誰かがゆっくりと近付いてきた。



「お疲れ様。あんた達に会いたいって子達が居るから、ちょっと来てくれない?」



 ニコリとした顔で現れたのは硝子だ。訳も分からずついていけば、見覚えある顔が三つ。30分程前に警備隊に摘まみ出された女の子達だった。彼女達は皆、今にも泣きそうな顔をしている。内心焦っているであろうメンバー達を代表し、Kouyaが口を開こうとしたその時だった。



「……今日はすみませんでした!!大事なライブをめちゃくちゃにして、本当にごめんなさいっ!!」



 リーダー格の金髪の少女が叫べば、茶髪と藍色の髪の少女も頭を下げる。三人はピアスをいくつも付けていたり、露出度の高いギャル系の格好をしていたりと、一般的に言えばあまり印象は良くない。だが、五人やスタッフ達には伝わってきた。彼女達の“精一杯の誠意”が。