五人の内三人の紹介が終わり、Kouyaは一旦息を継いだ。時間にすると僅か数秒。だがしかし、その間彼の頭には沢山の思いが浮かんだだろう。他のメンバー達も、同様に。Kouyaがスッと息を吸う。口元の小型マイクを通し、会場に声が響いた。



「……次はKazamiとのツインボーカルもやってくれている、僕らの大事なギタリスト、Setsunaです!」



 彼の言葉に便乗し、KazamiがSetsunaに近寄って肩を組む。Setsunaは隣をチラリと見上げてから、「Kazamiのファンに怒られる……」とボソリ。しかしその表情は、言葉に反して嬉々としていた。Setsunaの小さな心配とは裏腹に、観客は大盛り上がりを見せる。メンバー愛に弱いのが、どうやらファンの性らしい。



「えーっと……ギター担当のSetsunaです!今日は俺達のパフォーマンスを楽しんで帰って下さいねー!!」



 深く一礼してファンに手を振るSetsunaに続き、「最後に僕が、ドラム担当のKouyaです!皆さん、これから約一時間よろしくお願いします!!」とリーダー。ファンに名前を呼ばれて「なーにー?」と返すHiroを、「サービス精神旺盛だな」と小さく笑った。