「お次は、現在Quintet唯一の黒髪キャラ、Raiseiです!」



 染める予定はないそうでーす、と続け、KouyaはRaiseiを少し前方に押してやる。普段あまり前に出たがらない彼を思っての行動だろう。Raiseiは「はいはい、その通りだな」と返し、客席に視線を向ける。彼の鋭利な刃のような目に見つめられ、ファン達は無意識に声を上げていた。



「えー、ベース担当のRaiseiです。みんなにはクールだ無愛想だって言われますが、今日は思いっきり騒ぐんでよろしくお願いします!」



 この仕事にも慣れてきたのか、笑顔を垣間見せたRaisei。つい先日まで写真に写る表情さえ固かったのが、信じられない程だ。彼の隣には、緊張感というものを知らなさそうな少年がにこやかに立っている。Kouyaはそんな彼のオレンジ色の頭をポンと叩き、紹介を始める。



「それからこいつ。Quintetのムードメーカー、Hiroです!」

「みんな、こんにちはー!見所は全部だけど、俺の演奏にも注目してね!!
キーボード担当のHiroです!よろしくお願いしま~す!!」



 冬生まれの彼だが、その笑顔は真夏の太陽に反射する水飛沫を連想させた。嬉しそうに両手を振る姿は、とても眩しい。