「……自分の中でケジメを付けたのね。“男になりきる”って。そうでしょう?雪那。」



 雪那はコクリと頷く。あの日の決意を無駄にしないように、これからは生きていかなくては。いつかファンのみんなに真実を告げるその日まで。

 この世界を生き抜くのに、本当は男も女も関係ない。男になりきるからといって元々の在り方を失わないように、“自分らしく”輝こうと思った。勿論、この五人で。



「……みんな、これからもよろしくね!」



 雪那が言えば、即座に返事が返ってくる。これからもこの関係が変わらないでいて欲しいと、雪那は願った。



「勿論!」

「一緒に頑張ろうね!」

「レッスン大変だけど、体壊すなよ?」

「……ま、今まで通りやろうぜ。」



 光夜・紘・風巳・頼星の言葉のシャワーが、暖かな光のように雪那に降り注ぐ。大きく頷いた雪那を見て、硝子が「よーし!私もQuintetのために、これからも益々尽力しなくっちゃ!!」と叫ぶ。六人は室内のムードを、楽屋に居る時のように和やかなものへと変えた。

 ──そんな様子を横目に、高藤社長はそっと席を立った。その表情に、穏やかな微笑を残して。