「硝子さんさ、最後にこう言ってくれたんだ。
『アイドルは、どんなに辛くても笑顔で居なくちゃダメなのよ。世間に夢と希望を与えるのが役目だもの。確かに大変な仕事よ?だけど、自分の“売り”は何なのか、相手を惹き付けるにはどうすべきなのかを学ぶにはとても良い仕事だと思うわ。就いたからには精一杯やってちょうだい。また自分の中で矛盾が出てきたら、すぐに相談しなさいね』って……」



 風巳を通して聞いた硝子の意見に、それぞれが無意識の内に頷いていた。芸能人の影響力は凄まじい。彼・彼女が身に付けたものは飛ぶように売れ、不適切な発言をすればたちまちマスコミに叩かれる。いつも周りを意識しなければならない、神経をすり減らせる仕事である。

 しかしそんな中で、ファンの声援が思いも寄らないエネルギーになる。どんなに辛くても苦しくても、応援してくれる人が居れば頑張れる。自分達が与えたものにはきちんと反応が返ってくるのだ。だからこちらも応えなければならない。それを忘れたらアイドル失格だと、硝子を始めとしたマネージャー達なら言うだろう。

 ──改めて、視線を通わせた五人。決意の輝きが、それぞれの瞳に宿っていた。