電話の向こうの祖父母のそんな様子に気付いていない紘は、「あ、もうすぐ頼星の誕生日が来るんだよ!あいつ七夕生まれなの!!風巳は10月30日でねー、雪那は12月23日!!」と余計な情報まで喋り出す始末だ。

 しかし、祖父母は全く嫌気など差していないようで、受話器からは「みんなと仲良くしてもらってるんやなぁ」、「隆成さん、これで私達も安心ね」という、春の小川のような声が聞こえてきた。紘は笑顔になり、二人に言葉を返す。



「うん!亜美も光も友達出来て、時々家に連れてくるんだ。だから、全然心配ないからね!」

「紘は来年の2月18日はプレゼント要らんなぁ。ファンの方から沢山もらうだろう?亜美と光の誕生日にだけ送ったらええということやな。」

「ちょっとじーちゃん!酷いよそれ!!俺も誕生日プレゼント要りますーっ!!」



 祖父と紘のやり取りで、二つの家に笑いが溢れる。初めは頬を膨らませていた紘も、やがて四人につられて笑い出した。

 改めて、“5”という数字を意識してみる。大好きな家族の人数も5。大切なQuintetのメンバー数も5。自分には何かと縁があるらしい。紘はふと、自分達の曲が聴きたくなった。