「じーちゃん、ばーちゃん、聞こえるー?」

「こりゃあたまげた!携帯電話というもんにはこんな機能もあったのか。」

「私達が小さかった頃は、電話なんて持ち運べなかったのにねぇ。」



 紘の声を同時に聞けたからか、祖父母は二人して感慨深げな声を洩らした。それから五人は代わる代わる喋り始める。この人数での会話が成り立つのも、ハンズフリーのお陰だ。やがて祖父母は紘の仕事について尋ねてきた。離れて暮らす孫が、やはり心配なのだろう。



「紘、大変じゃないかね?芸能人は……」

「おじいちゃんもおばあちゃんも、三人の健康だけが心配なのよ。特に紘は、大変な世界に入ったでしょう?」



 二人の優しさが骨身に沁みる。心配をかける訳にはいかない。そう思った紘は、Quintetの楽屋でも恒例の、無意識の“おとぼけトーク”を披露していた。



「大変だけど、毎日楽しくやってるよ!それよりさぁ、プレゼントが凄いんだって!!4月14日が光夜の誕生日だったんだけど、段ボール何箱分!?ってくらいプレゼントが来てんの!!」



 相変わらず、明るくて元気な優しい孫だ。安堵の溜め息をついた二人は、きっとそう思ったのだろう。