『紘、亜美、光。元気にやってますか?おじいちゃんとおばあちゃんは元気です。このメールは、お隣の田中さんに手伝ってもらって書いています。』



 いつも自分達の健康を心配していた祖父は、メールでもやはりそうだった。変わらぬ優しさが嬉しい。三人の心に、小さな明かりが灯る。

 メールの続きには、祖父母の近況報告が少し書かれていた。『この前散歩の帰りに可愛い犬に会ったよ』という文章があり、写真が添付されている。ファイルを開けば、「可愛いー!!」という三つの声が同時に上がった。

 離れて暮らす自分達を楽しませようと、祖父は慣れない携帯の操作を必死に覚えたのだろう。居ても立っても居られず、紘は電話をかけていた。



「……和子、電話に出る時はここで良かったかね?」

「そこだと思いますけど……」



 既に通話ボタンは押されており、二人の会話は筒抜けだ。ハンズフリー機能を使っているので、紘達三人にその模様は同時に伝わる。思わず吹き出してしまった。

 豊島家の人々は、どうやら笑いを生み出すのが得意なようだ。数秒の後。いち早く落ち着きを取り戻した妹の亜美が、受話器の向こうに話しかけた。