藍原そんなにデレデレしないでくれる




司会者のお題に前のカップルが口を揃えて惚気を言い合う中ついに俺達の番。

確かお題は…お互いの好きなとこだっけ…。

こいつの好きなとこねえと考えていると藍原はもう答えが決まっていたのか司会者のマイクを奪い取るとすうと息を吸って「実は私結構キス魔なんですが彼がそのたんびに心臓どっきんどっきんさせて顔を赤くしてるところなんか見るともう萌えです!萌え!男はやっぱり俺様よりもピュアに限ります!」


宍野君かわええですよ!と最後には俺の方を向いて皆に俺の好きなとこ(最後には俺自身)を語った。それも熱く初っ端からこう興奮してちゃ最後にはあんたどーなんのと呆れるとこだけど。

しかもかなり脚色してるしもう何なの。

俺とは対照的に藍原は満足そうな顔してるしギャラリー達はわーわー興奮しちゃってるし。

終いには司会者までもが「これはこれは期待出来そうですよ〜!」と煽り立てるし。

あんたもう黙って。

では彼氏さんどーぞとマイクを顔の前に差し出されて躊躇う。

あいつのせいで余計な期待背負わされるし勘弁してよ。


「俺ははっきり言って彼女のこーいうとこには迷惑被ってるしあんまりいちゃいちゃとか好きじゃないんですけどでも嫌って思うことはなくて。他の女子なら絶対無理だと思いますけど彼女になら一喜一憂されてもいいかなーなんて思ったりもして。だから…」


そこで藍原に向き直って続きを口にする。

これから言うことマジ恥ずかしいのにそれでも言おうとしてる俺自分でも思う以上にこいつに溺れてんのかも。


「キス魔なままでいいよ」