時間が来て司会者のお呼びが掛かると拍手が巻き起こった。
うわあ来たよ来ちゃったよ。
あからさまに嫌な顔をするとそれを目敏く見つけた藍原が「掌に藍原って書いて飲んで下さい」って。はあ?
何で人じゃなく藍原なのかを聞くと真剣な表情でだってカップルコンテストですよ?宍野君の私への想いが皆に伝わった方が優勝しやすくなるじゃないですかと熱く語るから渋々実行する。
ああ俺ってほんとにこいつの言いなり。
前に続く他のカップル達を倣ってステージに上がると歓声まで飛び交う。
女って友人の惚気とか聞くの嫌がるくせにこーいうのは盛り上がってるしほんとわけ分からん。
用意されているイスに座ると司会者がさて始まりましたカップルコンテストと煽り立てる。
もうそんなのいいからさっさと終わらせてと思ってると隣からクスクス笑う声が。
何?と聞くといえ顔に出まくりだなあと苦笑して俺の顔を揉み拉く。
リラックスですよ、と笑う藍原。
されるがままの俺。そんな俺と藍原を見た司会者が「4番のカップル最初から見せ付けます」と煽り立てるものだからギャラリー達もひゅーひゅーと茶化して来る。
あ…そーいやもうステージに上がってんだっけと意識を戻されると隣からよし惹きはもらったと耳を疑う言葉が。
もしかしてこいつこれが狙いだったとか?
視線に気付いた藍原がなあにダーリンと口を開くからそれ止めてと軽く睨んだ。

