「で、何しに来たわけ?」

事の核心に迫ると藍原はポケットから一枚の紙を取り出した。何かやな予感。藍原が俺の元に来るのはいつも何かしらの魂胆があるわけだし、それに…藍原の紅潮した頬。絶対何かある。手渡された紙に目を通して思考が停止するかと思った。溜息を吐き出した俺に「まあ嫌だって言っても出てもらいますけどね」と藍原は笑う。この悪魔め。何で選りに選ってカップルコンテストに出なきゃいけないんだ。手に持っている紙を握り潰しそうになる。やっぱりあったよね魂胆。

「それで?出場して俺とのラブラブっぷりを見せ付けたいんでしょ?」

「その通りです宍野君。流石私の婿!」

婿じゃないし開き直らないでほしい。そして抱き着かないでほしい。この勢いじゃもう一回キスされそうだし。ふんふんと俺の匂いを嗅ぐ藍原はん?と怪訝な顔付きのまま香水替えました?って質問。そう前使ってた奴は藍原の好みじゃなかったみたいで俺も他のを使ってみたかったから新しいの買ってみたんだけど…って何言ってんだろ俺これじゃあ藍原のために香水替えたって言ってるようなもん…

「…何?」

藍原の熱烈な視線を感じて口を開くと「香水替えたの私のためですよね?道理で最近無駄に色香漂ってると思いました〜」うんうん頷く藍原。これ褒めてる?貶してる?結局バレてるし無駄って他に言い方ないかな。