君に恋したあの日。



「ああああぁぁああ!?楽しみにしてたのにぃ!?くっそやろおおー!!」


左手に持っている箸をぎりぎりいうくらい握り締めながら、勢い良く我がおかずを奪った憎き犯人の方に振り返る。


そして、時が止まった。


「……ひっ」


鬼だ。


「んー?そんな口聞いていいのかよ、あ、か、て、ん」


鬼がいる。


「…た、たかはししぇんしぇえ…」


やっばいぜこれは。


なんか背後に死神が見えるんだけど。鬼と死神のタッグなんて聞いたことないぜ。


「昼休み始めに職員室くるようにちゃんとお前の名前を二度も繰り返して放送したんだけどなぁ?俺は」


「は、はひっ」


「なのにぜーんぜんこないから、心がブラックホールのように広い俺は、わざわざ教室まで来てやったのに…」


「…ぁぃ」


「そんな俺にお駄賃に卵焼きくらいくれてもいいよなぁ?…………なーのに、何だその口のききかたはぁ!?」


「ご、ごめんなさいいいいいい!!眠ってて放送聞いてませんでしたああああ!!」


ひいーん怖いよー!!