甲斐先輩そう何かを言いかけて、

「…、やっぱいっか」

　と、やめてしまった。私は、

「あの、気になるんですけど」

　と、甲斐先輩に言うと、

「うるせ、気にすんな」

　と、撤回してきた。私は

「えっ、なんでですか？」

　と、少し強気に出てみたけど、

「うるせーな、いいだろなんでも！」

　と、跳ね返されてしまった。私は、ですよね～っと思いながら、これ以上何も聞かないことにした。

「…、先輩は帰らないんですか？」

　ふっと疑問に思って聞いてみた。すると、甲斐先輩は、相変わらずにやにやしながら聞き返してきた。

「あ？邪魔か？」

「あっ、そういうわけじゃ…！」

　そう撤回しようとすると、

「気にすんなって。わーってるから」

　そう言って、甲斐先輩は寂しそうな顔をした。そんな予想外の表情を見てしまった私は、つい焦ってこう言ってしまった。

「あ、あの！ほんとに違うんです！確かに先輩のことは苦手ですけど誰もいないよりはマシっていうか、心強いっていうか…そんな感じなんです！」

　甲斐先輩は驚いた表情をした後、

「くっ、はははっ！おまっ、それっ。ふははっ！」