「僕でよかったら…時間が合えば来るよ…?いつでも」

「ありがとうございます」

「い、いえ…。じゃあ…、行こうか」

 と、響さんは手を差し出した。私は、少し驚いたけど、

「はい」

 と言って握手したのだった。響さんは少し寂しそうな顔で握り返してくれた。
 二人で歩き出すと、身構えなくちゃ出来ないと思っていた会話もすんなりと弾んでいた。

「入学式の時、元気なかったみたいだけど…、何か…あったのかい…?」

「へ?」

「あ…、気のせいなら…いいんだ…」

「い、いえ、ちょっと図星で…」

「そう…なの…?」

 私は少し落ち込んでいた理由を、響さんにこう話したのだった。

「実は今年の桜の開花、少し遅れちゃって卒業式と入学式と間に合わなかったんですよね~」

 響さんは真剣に受け取ったらしく、

「残念だったね…」

 と、悲しそうな顔をしたのだった。もちろん私は、