と、数学教師がまたシゲの前に立ちふさがった。

「おいハゲ!通せバカ!」

 と、シゲは小生意気なことを言っていた。私はというと、

「シゲ、口を謹んで。すいません、先生。今取り込み中でして」

 と、仲介するしかなかった。シゲはというと、面白くなさそうにこう叫んだ。

「だぁーっ!!無理!俺は無理!!もー無理!!行くぞ!」

 人の話に耳は傾けるものの、下がる気はないようだった。そして、また私の腕を掴んで歩き出そうとした。

「おい、待ちなさい!」

「シゲ、抑えて」

 数学教師に殴りかかろうとするシゲに、私は抑えるよう言った。シゲはというと、舌打ちでもしてそのまま歩き出したのだった。もちろん、腕を離そうとはしなかった。
 私はそんなシゲに負けて、大人しく着いていくと、

「待ちなさいと言っている!」

 と、数学教師がまたシゲを止める。でも、

「もー!黙れよ!うるせぇなぁ!」

 と、シゲはまた数学教師に反抗するのだった。
 もうそろそろシゲの堪忍袋も限界だと思った私は、先生の味方に着くのを一回やめてこう言った。

「先生、すいません。言い聞かせておきますのでサボってから叱ってください。まだ休み時間です。シゲ、今は付き合うから手、出す前に行くよ」