また、見たことのない甲斐先輩が出てきた。甲斐先輩もこうやって照れたりするんだ…。

「あ、あんだよ…」

「いえ、特には」

 思っちゃいけないんだろうけど、甲斐先輩を可愛いと思ってしまった。
 にやけそうになる顔を必死で抑えると、甲斐先輩はこう言ってきた。

「まだ辛いか?」

 きっと傷の事だろうと思った私は、

「明日にはきっと治りますよ」

 と、軽い気持ちで言った。すると、

「バカ、そっちじゃねぇよ。気持ちの方だって」

 と、甲斐先輩は言ってきた。特に心当たりが無かった私は、

「はい?」

 と、聞き返してしまった。甲斐先輩は、何か言いづらそうにしていた。

「?」

 私が不思議そうに甲斐先輩を見ていると、ため息を吐いてからこう言ってくれた。

「…。お前が寝てるとき…、すげー辛そうな顔してたんだ…」

 私が意識を失っているときも、甲斐先輩はそばにいてくれたらしい。
 正直嬉しかった。
 私がにやけそうになっていると、

「なっ、なんだよ…」