「じゃあ、改めて。
これから一年間、宜しく。
大変なこともあるだろうけど、君たちには期待しているよ。」
紅王子はにっこり笑うと、鍵つきの棚からファイルを4冊出してきた。
「これ、読んでおいて欲しい。
持ち出し厳禁だから時間のあるときに、ここで読んでね。」
何のファイルだろうと考えながら見ていると、4人それぞれに渡された。
…重い。
「生徒の名前と顔写真、学年、部活、委員会…あとは、どこの寮かが書いてあるから。学年毎、女子と男子で分かれてて五十音順に並んでると思うけど…」
膨大な量だ。ポストカードくらいの大きさにその情報が載っていて、1ページにつき4人分がファイリングされている。
「なんで4冊あるんですか?」
気になったことをつい口に出してしまった。
こんな大事なデータなら、2冊が妥当だろうと思ったのだ。全員分載ってるなら、姫側にもう1冊で十分じゃないのか、と。
「あれ、意外に細かいことが気になるんだね。
王子ひとりにつき、1冊あるだけなんだけど。
…4冊ないと、仕事が割り振れないでしょ?」
ふふ、と何処か遠くを見る。
どういうことなんだろ?
「みぃちゃんってば怖い怖い。」
