「やばい!翠、今何時?」
流宇が焦った声で問いかける。
「8時15分だね…」
腕時計に目を落とす翠、どっかのビジネスマンみたいだ。
「うわー、紅王子-プランス・ルージュ-怒るかなぁ…」
少し怯えるように体を縮こまらせる流宇。
可愛いなぁ、なんて思った。
こんな不謹慎な中だけど。
私、話に加わらなくて良いのかな。
プランス・ルージュって…何だ?
「大丈夫だとは思うけれど」
来羽はふ、と息を吐く。
想像より早かったのだろうか。
「でも厳しそうだったよね、紅王子-プランス・ルージュ-。」
流宇がまだそんなことを言う。
「そんなこと言ってる場合じゃないわ、」
来羽が続ける。
うん、私もそう思う。
話が少し見えてきた。
「そう、紅王子-プランス・ルージュ-に会うんだったの。
呼び止めてごめんね。」
