入社式が終わると
会場改めて
立食式のパーティーが行われた。

よーし、コミュニティ広げねば!!

基本的に人見知りと無縁な私は回りを見渡した。

新社員には受付時に
胸に造花の飾りを付けられている。

とりあえず一番近くにいた女の子に声をかけてみる。

「はじめましてっ」

その子はビクリと肩を震わせて振り返った。

「は、はじめましてっ」

小柄でゆるふわな髪。

「めっちゃかわいい…」

あ、心の声漏れた笑
私の直感。
仲良くなれる。

びっくりしたみたいで
目をぱちくりしている。

「あ、えっと…?」

かわいい子を困らせたらだめだ!

「あ、ごめんね、つい本音が
新社員さんですよね?」

小森紗良(こもりさら)ちゃん。
私の押しに戸惑いつつも少し打ち解けてくれたみたいだ。

『あー、新社員の諸君』

司会をなさっていたお偉いさんだ!
なんだろう。
一度に舞台上に視線が集まる。

『この春から新社員として男子9人女子2人を迎え入れる訳ですが、今から意気込みを踏まえた自己紹介をしてもらいます』

女子2人って…私と紗良ちゃんだけなんだ?!
最初に声かけたのが唯一同期の女子とかついてる~♪

『ではまず小森紗良君、前に』

がしっ
掴まれたのは右腕。
掴んだのは紗良ちゃん。

「ど、どうしよう、本原さんんん」

はっ、自己紹介!

「行こう、紗良ちゃん、私も行く!」

完全に腰が引けてる紗良ちゃんを無理矢理ひっぱってく。

「あ、小森さん?」

パリパリのスーツを着こなし、
キラキラの白い歯を見せて笑顔を向けてくれたのは舞台下にいた
高梨勇治さん(名札をチェックしたのよ!)

「小森はこれです!ひっぱって来ました!」

いやいやするように首を振る紗良ちゃん。

「小森さん、大丈夫だよ、頑張って!」

高梨さんも声をかけてくれる。
優しい方なんだなぁ~!
イケメンで背も高いし、非の打ち所がないって感じよね!

「は、はじめましてっ、この度なでしこ出版ににゅ、入社させて頂くことになりましたっ!
小森紗良と申します!
精一杯頑張るので、ご指導の程よろしくお願い致します!」

きゃ、きゃわいいー…

満場がほんわかした空気に包まれた。

他の同期の自己紹介も進み、どうやら私は最後のようだ。

『では最後に本原桜子君』

「はいっ!」

会場に笑いが起こる。
よし、掴みは上々。

「はじめまして、先程紹介預かりました、ふじ大学文学部出身の本原桜子と申します!
本を読むことが大変好きなので、
作成に携わるこの職に勤めさせて頂くことが出来、大変光栄です。
私自信には華はありませんが、
名前にあやかって社内に華を添えたいと思います!
今後よろしくお願い致します!」

会場内にどっと笑いが広がる。
よしよし、いい感じだっ!