重苦しい空気が流れる。



それに恐怖心を感じたのか、光が突然、大声で泣き出した。




「すみません。こういうお店、初めて連れてきたから、緊張しちゃったみたいで・・・」




光をあやしながら、リカが初めに口を開いた。




「いえ・・・。今日は、どうもありがとう。」




「あっ初めまして。妻のリカです。この子は、娘の光です。」




リカは、緊張を隠して、明るい笑顔を、父親と、弟の幸太(コウタ)に向けた。




「歩太に似てます。・・・幼い頃の歩太にそっくりだ・・・。」



父親は、そう言って目を細めて光を見た。





俺は、不思議な気分だった。



もっと怒りとか、憎しみとか、いろんな感情が溢れ出るんじゃないかと、思っていた。



でも何か・・・


“あ〜年取ったなぁ〜”とか、“声は変わってないなぁ〜”とか、どっか呑気に懐かしんでたりして・・・





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