昔を思い出す事が減っているのは、今が幸せだから。



今、父親に会っても俺の過去が無かった事にはならない。




正直、今でも恨んでる。



父親だって、許してもらおうとは、思っていないはずだ。




「お父さんね、会う日も、会う場所も、全部こっちに任せるって。・・・どうしても、歩太に会いたいって・・・。」






「リカ、来て?」



両手を広げると、リカは俺の腕の中にスッと入って来てくれる。



抱きしめると、きつく抱きしめ返してくれる。




お前がいたから、俺は幸せになれた。


たくさんの事を俺に教えてくれた。



だから、俺は・・・



「会いに行くよ。」



俺は、今の自分を恥ずかしいって思わないから。



贅沢な暮らしじゃなくても、


背中に消えない傷がたくさんあっても・・・


大切な家族を、守れる幸せを手に入れたから。





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