リカは俺の腕の中で、安心しきった様な穏やかな顔をして、眠っている。
頬を撫でても、唇を指でなぞっても、ピクリとも動かない。
今日、リカが怒鳴る姿を初めて見た。
感情表現が素直なリカだけど、あんな風に怒るのは初めてだった。
すごく悲しい目をしていた。
「リカ、ごめんな。」
俺がもっと自分の気持ちを上手く伝える事が出来ていたなら、リカにあんな顔させずにすんだのかもな?
でも俺、今日ひとつ分かった事があるんだ。
今が大切なんだって。
俺達が生まれてからの時間と、一緒に過ごした時間を比べてはいけないんだよな。
今一緒にいる。
それだけで充分なんだ。
今を重ねて、二人の歴史をこれから作っていけばいいんだ。
お互いを思い合って、大切にして、愛して・・・
時にはケンカもするかもしれない。
でもちゃんと謝って、仲直りして・・・
そうやって、ずっと一緒にいられればいい。
愛してる。
これだけは誰にも負けないから。
リカの頬にキスを落として、俺も瞼を閉じた。
明日はまた、海が見たいな。
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