「ヴァンパイアが責めて来るとか、そういう事か?」


レインの言葉に、父様は首を横に振る。


そう、それだけじゃない。
私の血を狙うのは、ヴァンパイアだけじゃないんだから…



「スイラン王子の血の力を、レインにも詳しく話してやってくれ。コイツはもう、関係者だ」


スヴェンの言葉に父様は頷く。


「スイランの血、つまり薔薇刻印を持つ人間の血は生きるモノ全ての細胞を活性化させる。つまり、簡単に言えば傷を癒し、力を与えられる。不老や不死をもたらす事も出来るのだ


「不老不死だと!?そんなモノが本当に……」


レインは驚いたように私を見る。



レイン………
普通じゃない私を気持ち悪いって思った?


また危険をもたらす私はまるで悪魔、疫病神じゃん。
こんな体、欲しくなかった。



「ヴァンパイアも人間も、スイランの血を求めてるって事だな」


スヴェンの言葉に、レインは気づいたように顔を上げた。


「スイランを巡って、戦争も起こる…そういう事か…」

「否定は出来ないですね」


先程まで黙っていた大臣、マルクス・ディーが答える。


「どうやら、この城の純血王制への不満から、敵対していた分家の諜報員が情報を漏洩したと考えられます」


純血王制………
アルバンテールは、その身に流れる女神の血を重んじる国。民はそれを崇める為、王が純血である事は重要なのだ。


「分家という事は………バルサ殿か。ディオナ・アルバンテールを女王にする為に動いたな」


「父様、まだ決まったわけじゃ……」


バルサ叔父様。
いとこであるディオナの父親で、分家の一族の現当主。


血族を疑うのは、やっぱり苦しい。
ディオナとは、最近会っていないけど、小さい頃は良く遊んだ。


だから、疑いたくなんかなかった。