「だから、俺に遠慮するな。お前の事は俺が絶対に守ってやるし、何があっても味方だ」

「レイン………」



どうして、そんなに私を喜ばせるような事ばっかり言うの?
人に近づいて、巻き込んでしまう事が怖くて怖くてたまらないはずだった。なのに、私はレインに傍にいてほしくてたまらない。


「どうして、そんなに優しくしてくれるの?」

「さぁな。俺にもハッキリわかんねぇけど……お前を見てると、危なっかしくてほっとけなくて、気づいたら守りたいって思っちまうんだよ」

「!!」



それは、まるで告白のように聞こえて、顔が熱くなった。



守りたいだなんて、王子として生きてきたせいか、言われた事なんか一度もなかった。
嬉しい………。レインに守られるお姫様は、きっと幸せだね。


でもそれは、きっと私では無いんだろうな。



「ほら、帰ろうぜ、王子様」


レインがうやうやしく私に手を差し出す。


レイン、ふざけてやってるんだ!全く、人の事をからかって!!
私にはスイランって名前があるのに!



「僕はスイラン。王子はつけなくていいから、名前を呼んでよ。レインに呼んで欲しいんだ」

「なっ…そんな気恥ずかしい台詞をまたズケズケと……」


レインは完全に照れてしまい、赤い顔で私を恨めしそうに睨む。


「……スイラン、帰るぞ!!」

「!!……うんっ!!」



少しだけ、レインの特別な存在になれたみたいで嬉しかった。
もっと、あなたに歩み寄ってもいい?それが、レインを傷付けるかもしれなくても、それでも、あなたの傍にいても良いですか?