深紅の花に姫君《改装版》



『お前は、昔から変わらぬ。いや、もっと人間に近くなった』

「ふふっ、私は人間ですから」


もう、女神ではなくて人間なんだ。


『あの世界を愛した女神の慈愛と、人の世を正しく導こうとした薔薇の姫の正義を兼ね備えたスイラン・アルバンテール…。お前が存在することこそ、あの世界の意義を証明している』

「私だけじゃない、あの世界に生きる命全てが、世界の存在意義です」


『もう、我も分かっていた。あの世界を愛しているのだと。でなければ、お前は生まれぬ』


そうだ、主神のゼネフ様が私、慈愛の女神アリアを生んだんだもんね。


『神議で決められたアルバンテールの破壊は絶対。しかし、すでにアルバンテールは世界の形を変えつつある』


「人が、神の力を借りずに、自らの意思で生きる世界へ」


『スイランよ、あの世界への愛を忘れずに祈れ、そうすれば、アルバンテールは永遠に失われぬ』


私が、あの世界への愛を忘れない限り………


『どうか、あの世界を頼む。我の愛しい子……』


ーブワリと、深紅の花片が舞い上がる。それに合わせるように、体が浮き上がった。


「あぁっ!?」


わ、私どうなるの!?


『眠れ、次目覚める時は………』


その先の言葉は聞こえなかった。そして、私の意識は途絶えた。